肥満と不妊
肥満と不妊について
授かるだけの問題
ではありません。
妊娠と体重は、
みなさんが思っている以上に
深く関係しています。
でも、関係するのは
授かることだけではありません。
本当は、
授かる力と、産む力。
その両方に関係する可能性があります。
「1日でも早く妊娠したい」
そのために体重を整えることも大切です。
でも実は、妊娠した後の
お母さんと赤ちゃんを守ることにこそ
もっと大切な意味があります。
体重管理は、ただ痩せるための
ダイエットではありません。
赤ちゃんを授かり、
妊娠を継続し、
無事に出産するための準備です。
ただし、太りすぎだけではなく、
痩せすぎも妊活には大敵。
妊活中に本当に目指したいのは、
細い体ではなく、
妊娠と出産に耐えられる健康な体 です。
妊娠と体重は
なぜ関係する?
体重は、
ただ見た目を表す数字ではありません。
体脂肪、筋肉量、栄養状態、
血糖値、ホルモン、炎症、代謝など、
体の中の状態ともつながっています。
妊娠するためには、
☑️脳からホルモンの指令が出る
☑️卵胞が育つ
☑️排卵が起こる
☑️精子と卵子が受精する
☑️受精卵が育つ
☑️子宮内膜へ着床する
という、いくつもの過程が必要です。
体重が大きく増えすぎたり、
反対に大きく減りすぎたりすると、
この一連の流れを支えている
ホルモンや自律神経のバランスが
乱れやすくなります。
数字ではありません。
排卵・受精・着床・妊娠継続・出産までを支える体の土台 です。
ただし、BMIが高い人が
必ず不妊になるわけではありません。
肥満があっても自然妊娠し、
問題なく出産する方はたくさんいます。
反対に、BMIが普通の範囲でも、
排卵障害や不妊原因が見つかることがあります。
一人ひとりを決めつけるものではありません。
妊娠しにくさや妊娠後のトラブルを
増やす可能性があるリスク要因の一つです。
肥満の定義と
BMIの計算方法
肥満の判定には、
BMIという数値が広く使われています。
BMIは、身長に対して体重が
どの程度あるかを示す体格指数です。
例:身長160cm・体重60kgの場合
60 ÷ 1.6 ÷ 1.6
=BMI 約23.4
日本でのBMI判定基準
「肥満」と「肥満症」は違う
肥満は、BMI25以上という
体格の状態を表す言葉です。
一方、肥満によって高血圧、糖尿病、脂質異常症、
月経異常などの健康障害が起きている場合や、
内臓脂肪が過剰に蓄積している場合には、
「肥満症」と診断されることがあります。
医学的に体重を整える目的は、
見た目を細くすることではなく、
肥満に関連する健康障害を
改善・予防することです。
肥満が排卵・PCOSへ
与える影響
肥満と不妊の関係で、
最も起こりうる影響が
排卵障害です。
肥満のある女性では、
☑️月経周期が乱れる
☑️卵胞が育ちにくくなる
☑️排卵まで時間がかかる
☑️排卵が起こらない
☑️PCOSの症状が強くなる
などが起こりやすくなります。
なぜ肥満で排卵しにくくなる?
肥満になると、特に内臓脂肪が増え、
インスリンが効きにくい
「インスリン抵抗性」が起こりやすくなります。
体は血糖値を下げるために、
より多くのインスリンを分泌します。
インスリンが多い状態が続くと、
卵巣で男性ホルモンが過剰に作られ、
卵胞の発育や排卵を妨げることがあります。
↓
インスリンが効きにくくなる
↓
男性ホルモンが増えやすくなる
↓
卵胞が育ちにくくなる
↓
排卵障害につながる
排卵を妨げる脂肪?
脂肪細胞からは、
アディポネクチンなどの
「アディポカイン」と呼ばれる物質が分泌されます。
アディポネクチンは、
インスリンの働きや糖・脂質代謝を
支える善玉のタンパク質です。
内臓脂肪が増えると、
アディポネクチンが減少する傾向があり、
インスリン抵抗性や慢性的な炎症を通じて、
卵巣の働きへ影響する可能性があります。
「脂肪があるから」
という単純な話ではありません。
脂肪組織から始まるホルモン・
血糖 が関係しています。
肥満は卵子や着床にも
影響する?
排卵が起きているなら、
体重はもう関係ないのでしょうか。
実は、肥満の影響は
排卵だけに限らない可能性があります。
卵胞が育つ環境
肥満になりやすい食生活や生活習慣が卵子の質に影響している可能性があります。
卵子の成熟
肥満のある方では、卵巣刺激への反応や成熟卵子の割合などに影響がみられる研究があります。
子宮内膜
肥満に伴うホルモンや代謝の変化が、着床に関わる子宮内膜の状態へ影響する可能性があります。
妊娠初期の継続
肥満は、妊娠成立後の流産リスク上昇とも関連することが報告されています。
ただし、BMIの数値だけを見て
「卵子の質が悪い」
「子宮内膜が悪い」
と決めつけることはできません。
年齢、精子、卵管、子宮の状態、
生活習慣など、
妊娠には多くの要因が関係します。
思うように妊活・不妊治療が進まない
なんてことがあれば、
体重を減らすことが妊娠への
近道になる可能性が高いです。
肥満が不妊治療へ
与える影響
肥満は、自然妊娠だけでなく、
排卵誘発や体外受精などの
不妊治療にも影響することがあります。
肥満のある方では、
☑️排卵誘発剤が効きにくい
☑️必要な薬の量が増える
☑️卵巣が超音波で見えにくい
☑️採卵手技が難しくなる
☑️採卵時の麻酔リスクが高くなる
☑️妊娠率・出生率が低下する可能性がある
☑️流産率が上昇する可能性がある
といった影響が報告されています。
肥満が妊娠・出産へ
与える影響
「1日でも早く授かりたい」
という目的でも、体重を整えることは大切です。
でも実は、肥満は妊娠した後の
お母さんと赤ちゃんにも影響します。
妊娠するためだけの
準備ではありません。
妊娠を継続し、安全に
出産するための準備
でもあります。
肥満で上がりやすいリスク
妊娠高血圧症候群
妊娠中に血圧が上昇し、重症化すると母体の臓器や胎盤、赤ちゃんの発育へ影響します。
妊娠糖尿病
妊娠中に血糖値が上がり、巨大児や難産、新生児の低血糖などにつながることがあります。
流産・死産
肥満は、妊娠初期の流産や妊娠後期の死産リスク上昇とも関連します。
早産
高血圧などの合併症によって、赤ちゃんを早く出産しなければならないことがあります。
巨大児
赤ちゃんが大きく育ちすぎることで、分娩時の負担が大きくなる場合があります。
難産・帝王切開
分娩が長引いたり、陣痛が弱くなったり、帝王切開が必要になる可能性が高くなります。
帝王切開になった場合も、
肥満があると、麻酔、手術、血栓症、
出血、傷口の感染などのリスクが
高くなることがあります。
もちろん、肥満があるからといって、これらのトラブルが必ず起こるわけではありません。
妊娠前から血圧や血糖値を確認し、
できる範囲で体重を整えておくことで、
より安全な妊娠・出産を目指しやすくなります。
その後、無事に出産するためにも。
体重管理は大切な妊活です🔥
肥満は女性だけの
問題ではない
妊活中の体重管理というと、
女性ばかりが注目されがちです。
でも、男性の肥満も
精子や性機能へ影響する可能性があります。
男性の肥満では、
☑️テストステロンの低下
☑️精子濃度や運動率への影響
☑️精子DNA損傷の増加
☑️勃起機能の低下
☑️睡眠時無呼吸によるホルモン低下
などが起こる可能性があります。
内臓脂肪が増えると、
男性ホルモンであるテストステロンが
低下しやすくなります。
また、太ももや下腹部の脂肪によって、
精巣周辺に熱がこもりやすくなることも、
精子にとって不利になる可能性があります。
女性だけにあるわけ
ではありません。
体重管理も、
夫婦二人で行う妊活 です。
もちろん
痩せすぎも良くない
肥満が良くないと聞くと、
「とにかく体重を落とさなければ」
と考えてしまう方もいます。
でも、妊活では痩せすぎも大敵です。
痩せや低栄養の状態では、
☑️月経不順
☑️無排卵
☑️無月経
☑️女性ホルモンの低下
☑️骨密度の低下
☑️貧血・栄養不足
などが起こりやすくなります。
なぜ痩せすぎで排卵が止まる?
体脂肪や摂取エネルギーが極端に少なくなると、
脳は「今は妊娠や出産に適した状態ではない」
と判断します。
すると、
排卵を指示するホルモンの分泌が抑えられ、
エストロゲンが低下し、
月経不順や無月経につながることがあります。
↓
エネルギーが不足する
↓
脳が生存を優先する
↓
排卵の指令が弱くなる
↓
無排卵・無月経につながる
痩せすぎは妊娠後にも影響
妊娠前のBMIが18.5未満の場合、
赤ちゃんが小さく生まれる
低出生体重児や胎児発育不全、
早産などのリスクが高くなる可能性があります。
妊娠中は、胎盤、血液、子宮、乳房、
そして赤ちゃんの体を作るために、
多くのエネルギーと栄養が必要です。
妊娠前から栄養不足の状態では、
その材料が足りなくなってしまいます。
太りすぎず、痩せすぎず、妊娠に
必要な栄養が足りている体 です。
どれくらい
痩せればいい?
BMIが25を超えていると、
「普通体重になるまで何十kgも痩せなければ」
と焦ってしまうかもしれません。
でも、最初から完璧な体重を
目指す必要はありません。
特に肥満を伴うPCOSや排卵障害では、
現在の体重から数%程度の減量でも、
月経周期や排卵が改善する方がいます。
目標の一つとして、
5〜10%程度の減量が示されることもあります。
例えば体重80kgの場合、
5%は4kgです。
いきなり20kg落とさなくても、
まず数kgの減量で、血糖値や血圧、
月経周期が変化する可能性があります。
体重計の数字を最短で
減らす事ではありません。
ホルモンと自律神経が整う生活を
続けた結果、体重が適正へ近づく
ことが理想です。
妊活中におすすめの
体重管理
妊娠を急ぐほど、
短期間で一気に痩せたくなります。
でも、極端な食事制限は、
たんぱく質、鉄、亜鉛、葉酸などの不足を招き、
かえって妊活の土台を壊すことがあります。
食べないことではなく
食べ方を変えること です。
妊活中に避けたい減量方法👇
🚨炭水化物を完全に抜く
🚨1日1食だけにする
🚨断食を繰り返す
🚨たんぱく質を減らす
🚨毎日激しい運動を行う
🚨短期間で大幅に体重を落とす
🚨体調不良や月経異常を無視する
月経が止まり、栄養が不足したら、
妊活としては成功ではありません。
排卵と健康を守りながら
続けられる方法を選びましょう。
妊娠してから
無理に痩せない
妊娠前に体重を整えることは大切ですが、
妊娠した後は、自己判断で
減量を始めないでください。
妊娠中は赤ちゃん、胎盤、羊水、血液などを作るため、妊娠前より多くの栄養が必要になります。
肥満があるからといって、
妊娠中に食事を極端に減らしたり、
体重を落とそうとしたりすると、
赤ちゃんの発育に必要な栄養まで
不足する可能性があります。
妊娠中にどの程度体重を増やすかは、
妊娠前のBMI、合併症、赤ちゃんの発育などを
見ながら個別に決めます。
妊娠後は、痩せることを目標にせず、
産婦人科で指導された範囲で
体重を管理してください。
基本的には妊娠する前。
妊娠後は、赤ちゃんへ必要な栄養を届けながら、増えすぎを防ぐ ことが大切です。
まとめ
肥満と不妊について知ってほしいこと👇
☑️日本ではBMI25以上が肥満
☑️肥満は排卵障害やPCOSと関係する
☑️卵胞発育や不妊治療にも影響する可能性が
☑️妊娠後の高血圧・糖尿病・難産にも注意
☑️男性の肥満も精子や性機能に関係する
☑️BMI18.5未満の痩せも無排卵の原因になる
☑️急激な減量はダメ
☑️妊娠後は自己判断で減量しない
授かるためにも、
出産するためにも、
今から体重管理を。
妊娠を急ぐ気持ちが強いほど、
「早く痩せなきゃ」
と自分を追い込んでしまいます。
でも、体は一日で変わりません。
今日の食事を一つ変える。
10分だけ歩く。
夜更かしを一日減らす。
甘い飲み物を水へ変える。
その小さな積み重ねが、
ホルモンや血糖、血圧、筋肉を変え、
妊娠と出産を支える体につながっていきます。
妊娠の準備だけではありません。
お母さんの命を守り、
赤ちゃんを守り、
無事に出産するための準備です。
焦らず、無理せず、
今日からできることを
一つ始めてみてくださいね😌